ロシアは、ウクライナには人道危機があり、国際的な介入が必要と主張している。ロシアのまやかしのプロパガンダ政策のひとつである。ロシアも自国で人道的問題を抱えているのだから、まさに皮肉である。ウクライナの子供たちはプロパガンダの道具に使われている。
ウクライナ国内で自国民が大多数避難しているが、これはクリミアとウクライナ東部におけるロシアの犯罪行為の結果である。ロシア政府はテロリストや過激派の支援を停止すべきだ。
人道面も含め、状況改善にはそれしか方法がない。クリミア半島でロシアが行っている基本的人権、公民権、文化的価値観の侵害は、同地域における最も大きな人道的脅威であり、特段注視すべきである。
- ロシアがメディアで行っているウクライナへの敵対的外交政策は、ウクライナ東部の状況にからめて人道問題に焦点を当てている。ロシアが国連安保理で訴えた「ウクライナ軍による人道犯罪等の戦争犯罪」は、ロシアメディアの報道等も加わり、ウクライナ東部の現状を歪めて伝えている。
- こうしたロシアのやり方は、ルガンスクとドネツク住民に対する気遣いとは正反対のものであり、極めて偽善的だ。真の狙いは、ロシア自身やロシアに支援されたテロ集団の犯罪行為から世界の目をそらさせ、クリミア占領による人道的危機の事実を偽装し、ウクライナの対テロ作戦を「懲罰的行動」としウクライナの「内戦」というイメージを強める目的がある。ロシアが提案した「人道回廊」は、武器と兵士等人員の供給や負傷者治療の機会を得るためのものに過ぎない。
- ロシアからの犯罪者や武器の流入は国境警備隊を含むロシア政府の支援によるものであり、これを受けてウクライナ内閣は2014年6月5日に、ロシアとの8カ所の国境検問所を閉鎖する決定をした。
- 子供を戦闘地域から避難させるという偽善の大義のもと、ロシアメディアも大騒ぎする。ウクライナの子供たちは、ロシア政府のプロパガンダの道具である。ロシア政府を「苦しむ子供たちの救出者」と印象付け、ウクライナ政府を「子供を含む自国民を攻撃する犯罪者」と印象づけるための道具なのだ。今後もロシア兵は住民を「人間の盾」として利用し、子供の犠牲者を挑発の道具として利用する可能性がある。
- テロリストは、自ら監視下に置く子供たちの避難を遅らせ、子供たちの後ろに隠れ、ロシアメディアにのみ取材を許している。まさにロシア政府と過激派が手を組んでいる証拠である。スラビャンスクに住む8歳のジェーニャ エゼキュアン君は、人口呼吸器を使用しているが、ドネツクからハリコフに搬送する救急車の使用が認められず、武装集団はロシアのロストフ・ナ・ドヌ市への移動しか認めなかった。また、テロリストたちは、ルガンスクの500名の孤児たちがオデッサに行くための列車を妨害したが、子供たちは別の列車で何とか安全な場所に避難することができた。
- ロシア政府は記録的な数のウクライナ孤児がロシアで難民化していると発表したが、これもプロパガンダによるものだ。実際には、情報元がどこかによって情報に大きく差がある。
- ウクライナ政府は、あらゆる手段でテロリストに占領された地域に住む自国民の安全を守る。子供たちの避難には最大限の努力をし、特にウクライナ鉄道が関係する活動に支援を行う。ウクライナ政府は、国民が安全に避難するための回廊設置のため、武装集団との交渉さえ行う用意がある。
- 対テロ作戦実行地域からの避難用として、ウクライナ大統領の命令により「人道回廊」が設置された。内務省によると、対テロ作戦部隊の検問所で避難民の認定手続きを行えば、社会保障、医療、年金等の公的サービスを受けるための書類が交付される。
- ロシアによるクリミア占領、テロ集団によるウクライナ東部での暴虐により、国内で避難民が急増している。5月の国連報告によればクリミアだけで約10,000人が避難した。ルガンスクやドネツクからの避難民も増え続け、試算によれば15,000人以上が自宅からの避難を余儀なくさせられた。ウクライナ社会では相互支援とボランティア精神が高まっているが、これほど多くの避難民に対応するには、何らかの社会的政策が必要となる。
- 現状を解決する唯一の方法は、テロ集団と過激派の行動を停止させ、ウクライナ東部に平和を取り戻すことである。ウクライナ国民は、ロシアから見かけだましの人道支援は必要としていない。ウクライナ国民が求めているのは、ロシアがテロ集団への支援を止め、彼らを公式に糾弾し、ウクライナ不安定化につながる行動から手を引くことだ。