ウクライナの関係機関により,ドネツク州及びルハンスク州で使用されている携帯式地対空ミサイルシステムがロシアから流入している旨の証拠となる画像が得られた。
2014年6月6日,「マリノフカ」検問所(ドネツク州)に対するテロリストの攻撃を撃退した後,戦闘が行われた場所において,製品「9M39」(携帯式地対空ミサイルシステム「イグラ」)の空き箱が発見された。箱の中にあった説明書によれば,この携帯式地対空ミサイルシステムは2001年からロシア連邦防空軍基地第33859(クラスノダルスク地方エイスク市)に保管されていたことが分かる。最後に保管場所である第33859基地倉庫に保管が確認された旨の記載は2014年4月12日とされている。
これは画像に明確に記載されていることが分かる。
このように,本年4月12日にはミサイルシステムは,エイスク市のロシア連邦軍基地に保管されていたが,本年6月6日には,ウクライナ・ロシア国境の「マリノフカ」検問所への攻撃に際し,テロリストにより使用された。
これに関し,ウクライナは,本年6月18日の安全保障分野における協力に関するOSCEフォーラム会合の枠組みにおいて,ロシア連邦に対し,如何にして携帯式地対空ミサイルシステム「イグラ」がロシア軍基地から親露派の分離主義者の手に渡ったのか説明越すよう要請しおいた。
ロシア連邦による携帯式地対空ミサイルシステムのテロリストへの供与は,ロシア連邦によるウクライナの内政干渉とロシアによる対テロリスト支援の事実の証左であるのみならず,ワッセナー・アレンジメントの「携帯式地対空ミサイルシステムの輸出管理のための要素」の枠組みにおける携帯式地対空ミサイルシステムの備蓄及び移管の管理に関する国際義務に対するロシア側の重大な違反である。