在日ウクライナ大使館

, キエフ 16:45

科学・技術関係

科学技術分野におけるウクライナ・日本の協力体制を発展させることは、両国間の包括的関係を推進する上で最も優先度の高い重要課題のひとつである。中でも、相互に有益なプロジェクトの実現や、両国科学研究機関による共同研究プロジェクトの着手は特に重要である。

科学技術分野における長期的な2国間協力体制を始動させるべく、2006年2月15日、キエフにて第1回ウクライナ・日本科学技術協力委員会会合が開催された。会合では両国ともに共同プロジェクトへの関心を示し、ワークショップの開催、科学者や専門家による定期的な情報交換、研究プロジェクト、とりわけ、材料科学、ナノテクノロジー、情報技術、ライフサイエンス(バイオテクノロジー、放射線医学を含む)、省エネルギー技術等、優先分野における基礎研究での協力について意気込みを示した。

1973年10月10日、ソヴィエト社会主義共和国連邦と日本国政府との間の協定に基づき、創設会議が開かれ、2005年7月21日、「ウクライナと日本の間の21世紀における新たなパートナーシップに関する共同声明」、および「科学技術協力に関するウクライナ・日本共同記者発表」が発出された。

ウクライナ側からは、教育科学省、外務省、国立科学アカデミー、科学研究機関、高等教育機関等の関係者が出席し、日本側からは外務省、文部科学省、経済産業省、独立行政法人日本学術振興会の関係者が出席した。第1回会合の成果をふまえ、「第1回ウクライナ・日本科学技術協力委員会会合覚書」が発出された。覚書によれば、次回の会合は東京で開催される。

2007年3月、ウクライナ外交団団長および文部科学省関係者の会合が開かれ、日本は科学技術分野での新たな協定締結に前向きであり、協定が締結されれば、現在も両国間で承継している1973年10月10日のソヴィエト社会主義共和国連邦との協定を刷新することになる。

キエフのウクライナ日本センターの活動は、科学技術分野における両国間協力体制の建設的発展に重要な役割を果たしている。2005年7月、技術協力プロジェクト実現に向け、ウクライナ経済省および日本国外務省の間で「ウクライナ日本センター」の設立合意が締結された。

センターの主導により、投資や貿易推進および科学者、工業セクター、政府機関間の協力に関するビジネスワークショッププロジェクトが開催された。また、日本語学習コースや科学技術関連イベント、文化交流イベントが実施されている。

キエフのウクライナ日本センターは、科学技術分野でのさらなる両国の協力においてさらに重要性を増している。2005年7月に技術協力事業の実現に向け、ウクライナ経済大臣と日本外務省大臣の調印によりウクライナ日本センターが始動した。

同センターでは、投資、貿易開発、二国間での科学分野、工業分野、政府機関協力などに関するビジネスワークショップが開催されてきた。また、日本語教室やウクライナ主催による科学技術、文化交流イベントも催された。

2006年5月22日、国際協力機構(JICA)およびウクライナ国立技術大学(キエフ技術専門学校)との間で、国際技術支援事業始動に関する調印が行われた。また、日本センターがウクライナ国立技術大学(NTUU「KPI」)内にオープンした。

こうした事業は、経済発展が続くウクライナにおいて、人的資源の開発を行い、国際貿易、ビジネス分野での協力を強化することでウクライナ経済の発展を推進することや、相互理解と友好関係をさらに深めることを目的としている。同センターでは、日本語教室、アート教室など、多彩なイベントも行われている。図書館では、情報サービスの提供や科学、工業、政府機関協力に関する活動も行われ、科学技術や文化的交流も実施されている。

ウクライナ日本センターでは、会合の計画や開催を通じてビジネスの仲介サービスを提供し、両国間におけるビジネスパートナーの関係構築や、B2Bマーケティングに必要な高い質のサービス、両国製品やサービスの販売拡大に向けた活動を支援している。

日本の企業や機関の経営を学び、日本のパートナー作りの支援をするため、ウクライナ日本センターのイェ・オゴロドニク・センター長代行がJICAの招きにより2008年12月に来日した。またS.シドレンコ・ウクライナ国立技術大学副学長も2009年7月に来日した。

ユ・I・ヤキメンコ副学長およびS.シドレンコ副学長は、JICAの招きにより2010年に来日し、東京大学、京都大学、国連大学、文部科学省、外務省、JICAなど科学技術機関や関係政府機関での会議に出席した。

今回の訪問では、科学技術分野での協力関係の発展に向け、2011年以降のウクライナ日本センターの発展の方法や、ウクライナ国立技術大学と日本の大学間での科学技術協力が主な議論のテーマとなった。注目すべき点としては、ウクライナ国立技術大学で開発された「安定した発展と行政:グローバルおよび地域コンテスト」と呼ばれる修士号、博士号の国際プログラムに基づく教育が国連大学で開始する予定である。国連大学関係者は、安定した発展、環境保全、気候変動問題等に関する国際会議を提案している。

ウクライナは2011年5月22日に終了するJICA事業について、安定発展、バイオテクノロジー、先端材料、電力工学等、新たな科学技術事業の開始を計画している。

2010年6月20日、ウクライナ日本センターは、JICAとの技術協力委員会の第四回会合を開いた。両国の委員は事業の終了後もウクライナ日本センターの活動を支援していくことを確認した。

マイクロ衛星による地球遠隔探査等、両国間の科学技術協力の議論は、両国間の新たなビジネスの発展に刺激を与えた。


2006年4月、S.M.ニコラエンコ・ウクライナ教育科学省大臣、D.メルニチュク・ウクライナ国立農業大学学長およびS.メルニチュク副学長が非公式に日本を訪問した。訪問の目的は、ウクライナ国立農業大学および東京農業大学の両国間教育協力の強化および推進を図り、バイオテクノロジープロジェクトに関する経験共有などを目的としたものであった。

過去4年間、両大学の協定を基に、科学プロジェクトおよび出版物を通じた協力が行われている。例えば、2006年末には、第6回国際学生サミット2006「食料、農業、環境分野での教育、改革の重要性の理解」が東京で開催され、D.メルニチュク・ウクライナ国立農業大学学長も参加した。

2006年10月22日~12月22日、ウクライナ国立農業大学から専門家2名が日本に招かれ、農産物および遺伝子組み換え製品に関する品質と安全性に関する研究を行った。この研究は2006年8月の日本政府による技術協力の枠組み内で実施された(2006年10月20日日本大使館プレスリリースを参照)。

2008年11月、ウクライナ語専門家協会の第23回年次会議が開催された。会議では、ウクライナの科学者たちが、ウクライナのヨーロッパ統合プロセス、北ブコビナの人口、ウクライナの著名作家レシャ・ウクラインカに関する研究レポートを発表した。

ここ数年は、助成金プログラムの枠組みの中で日本の科学技術関連団体がウクライナの科学者たちと協力を続けている。ウクライナ国家科学アカデミーに所属する33の機関が、相互参加の科学プロジェクトを行い、機関同士の合意によって計画的研究や調査が行われ、両国の科学センター研究室において材料科学、情報科学、物理学、化学、バイオテクノロジー、生物情報科学、生態学などを研究した。

ウクライナ人エネルギー専門家の再教育コース実施は、科学/技術協力において重要な側面を持つ。再教育コースは海外電力調査会 (JEPIC)の支援および経済産業省の財政支援によって実施される。毎年、ウクライナの原子力発電所から3、4名の専門家がコースに参加している。同時に、日本はウクライナ原子力規制国家委員会および国家原子力エネルギー発電会社「エネルゴアトム(Energoatom)」と協力し、ウクライナ原子力発電所に専門家を定期派遣し、原子力の安全性を中心としたワークショップに参加している。過去12年間で、こうしたセミナーで学んだウクライナ人専門家は160名を超えている。

様々な省庁のウクライナ人専門家たちがJAICAのトレーニングプログラムにより実習を受け、日本人専門家はウクライナ側のリクエストに応じた研究を行っている。これらすべての活動は、日本政府の目的指向型の協力体制において重要な役割を果たしている。過去2年間、地質、環境管理、統計、外国貿易などの19名のウクライナ人専門家がJAICAのトレーニングコースに参加している。

長崎大学医学部原研病理、国立放射線医療医学センター、内分泌学学会(ウクライナ国立V.コミサレンコ記念理学アカデミー)は、10年以上にわたり、チェルノブイリ原子力発電所事故の医学的な後遺症の調査として多次元プログラムでの研究を行っている。2005年8月24日、日本の宇宙用機器を搭載した「ドニプロ」ロケットがバイコヌール・コスモドームから発射された。日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2機の衛星と打上装置を製造した。NEC東芝スペースシステムが製造した重量570キロの光衛星間通信実験衛星(OICETS)は、衛星内に衛星間レーザー通信システムの実験機材を搭載している。

これとは別のINDEX(Innovative Technology Demonstration Experiment)衛星は、重量が75キロでJAXAの宇宙科学研究本部が製造した。INDEX衛星は地球のオーロラ現象を科学的に観察できるよう設計されている。打ち上げは国家設計技術局「ピヴデンネ(Pivdenne)」、「ピヴデンマシュザヴォド(Pivdenmashzavod)」、「ハルトロンコーポレーション(Hartron Corporation)」が創設したISC「コスモストラス(Kosmostras)」によって行われる。

2007年4月、外交機関の責任者が筑波宇宙センター(TKSC)を訪問した。宇宙航空研究開発機構責任者と会談を行い、同センターにあるメインの実験、試験施設を視察した。

ウクライナと日本の航空宇宙分野での協力の枠組みの中で、日本はウクライナからの提案を開発機構の重役専門家レベルで考慮する用意があることを示し、ウクライナ国家宇宙局(NSAU)に日本側の意図を伝えた。

また、ウクライナ・日本経済協力調整委員会の第2回会合および、経団連による2009年3月の「日本・ウクライナ」ビジネス協力委員会において、日本のウクライナ大使館はO. ジンチェンコNSAU事務局長および林幸秀JAXA副理事長の会談を開催した。

2010年7月2日、東京大学、信州大学、国際宇宙平和協力推進機構の代表者がウクライナを訪問。東京大学のナノ衛星開発がウクライナ国立宇宙局で紹介され、両国の相互協力による事業の成功に興味を示した。

また、両国ともマイクロ/ナノ衛星の共同開発は、ウクライナと日本の宇宙協力体制の拡大につながるとの認識で一致。ナノ衛星開発を公式な両国間事業とするよう働きかけることを決定した。

2010年10月1日、「AVIASVIT-XXI」の宇宙サロンにおいて、「マイクロ/ナノ衛星共同開発事業の実現に関する覚書」が調印された。

リヴィウ宇宙研究センターと電気通信大学、東京工業大学、東京大学地震研究所、千葉大学理学部地球科学科との間で技術協力関係が締結され、地震の前兆現象の監視や監視機器開発、石油やガス探査用地殻屈折研究などの分野で協力体制が確立した。ウクライナが設計した15の施設が日本の技術者に紹介され、日本側はアジアとオセアニアにおいて、リヴィウ宇宙研究センターが開発した施設の商業化を図るための共同会社設立を提案した。現在、共同会社設立については協議が行われている。

2010年、科学技術国際交流センター(JISTEC)の協力により、ウクライナから15名の生徒および科学者が、つくば市を始めとする、日本の主要科学技術機関での実務研修を行った。

科学技術国際交流センターによれば、彼らの教育、資格レベルは非常に優れ、科学者として高い可能性を秘めている。同僚からの尊敬を受け、職場では高い評価を受けており、日本側もウクライナ技術者へのさらなるアウトソーシングやインターンシップに興味を示している。

現在、日本側の協力に変化はなく、1973年10月10日の科学技術協力に関する日ソ合意が、この分野における両国関係の根拠となっている。同時に日本側は新たな合意案に調印する可能性も示しているが、それを実現するためには、ウクライナ側が1973年合意の具体的な不備を指摘する必要がある。

会談では、宇宙分野での部門間を超えた新たな協力段階の始まりについて話し合いが行われた。会談の結果および、さらなる建設的協力のため、JAXAは粟沢晃JAXA国際部部長をNSAUとの話し合いを継続していく上での担当者に任命した。

ウクライナ・日本の科学技術分野における協力体制の現状と可能性を考慮し、ウクライナ・日本科学技術協力委員会の第2回会合が開催される。2010年9月に東京で開催される予定である。より効率的な両国関係の構築が、今回の主なタスクのひとつとなっている。ウクライナ国家科学アカデミーなど、ウクライナの権威ある科学技術機関が会合に出席する予定である。また、ウクライナ、日本両政府による科学技術分野における新たな協定への調印が計画されており、実現されれば1973年10月10日にソビエトと日本が締結した協定を刷新するものとなる。